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【特集】
熊本県 鎮西高等学校 剣道部
「強さの原点」
2011/11/24 鎮西高校剣道場
明治21年、浄土宗学鎮西支校として創立した歴史のある学校。 鎮西高校は熊本市内中心地からほど近い場所にある。スポーツ学校としても有名で野球、バレーボール、陸上等では多くのプロ選手、オリンピック選手を輩出している。
また「史上最強の柔道家」ともいわれている木村政彦も、ここ鎮西高校の出身である。
鎮西高校は剣道界でも「名門」としてその名は全国へ知れ渡り、剣道場に掲示してある在校生・卒業生の名前札には八段を取得している先生や剣道界を賑わせた名選手の名が数多くある。
●強さの秘訣は「形」にあり
チームをまとめる齊藤選手(左)、松隈副キャプテン、上原キャプテン 近年の成績としては、今年のインターハイ個人戦では阪口克哉選手が3位入賞を果す活躍をし、九州大会個人戦では上原雄二郎選手が優勝、阪口選手が3位など個人での成績は目立っているが、団体においては全国大会県予選であと一歩のところで出場を逃している。今年度のキャプテンを務める上原選手は「来年こそ団体戦で全国大会出場、上位進出を目指しています。」と力強く語ってくれた。
その甲斐あって、11月に行なわれた熊本県高校新人戦(団体)では優勝を果し2月に行なわれる九州大会の出場権を獲得、さらに12月18日に行なわれた青龍旗高校剣道大会(勝ち抜き戦、1本勝負)では強豪校が多数出場するなか決勝で福岡第一を破り初優勝と、全国選抜、インターハイ出場へ向け弾みをつけた。
強豪剣道部の指導陣は総監督・一川一先生(教士八段)、監督・吉里泰彦先生、コーチ・竹本先生という体制で日々厳しい稽古、朝練(トレーニング)を行なっている。
現在の剣道部員は、今年新設されてた中学剣道部も含めると44名(中学9名、高校男子28名、高校女子7名)が所属している。多くの高校剣道部員は学校で「スポーツクラス」で授業を受け、その中には「剣道」の授業もあり、一川先生による「形」の授業が行なわれているのだ。
一川先生は「形」に剣道の原点、必要な多くの要素があり、また「人間形成」おいても非常に重要であると言う。その理念を高校生、若いうちから学ぶ事により身に付きやすく、忘れる事がないと考えている。「試合剣道」だけではなく、剣道本質である「精神」を学んでもらいたいと思っているのだ。
●打たれて学ぶ
道場は試合コート約2面分。追い打ちもできそうだ・・・ 試合での勝ち負け、そして試合での敗北に納得しない選手・・・ 剣道の本質は審判によって勝負を決するだけではなく、一川先生は「打たれてなんぼのもの」という精神、打たれて「あなたの欠点はそこですよ」と教えてもらって感謝をするような「心」をもっと持って欲しいと言う。
そもそも防具というのは試合での「ポイント」ではなく「叩かれるもの」であり、例えば、打たれた者は多少場所が外れていても素直に認め、打った者は逆に「外すような打ち方をした私が未熟でした。」と頭を下げ、常に相手を敬いながら稽古をすること大切であり、常に自分の至らない部分を修正していくことが、剣道の成長と人間形成に繋がると考えている。
二天一流の形。一川先生は、正しい姿勢、刃筋を学ぶには、「形」の稽古を繰り返し行なうことが必要であり、その延長上に防具をつけた稽古があると考えている。すなわち「寸止め」の形稽古から、実際に打つと姿勢・刃筋はどうなるか?という確認のために、防具を着用し稽古を行なうという理論である。
一川先生が指導する剣道形の稽古に関しては「刃引き刀」を使用し練習することもあるという。そして、「二天一流」の形も同時に学んでいる。
日本剣道形。 「二天一流」に関しては諸説、流派的なものもあると聞いた事があるが、鎮西高校では一川先生が父親である八段範士・一川格治先生から学んだ「二天一流」を教えている。(今回の取材では、わかりやすく例えながら教えて頂きました。)
二天一流には呼吸法の要素、「能」のような静かなゆっくりとした動きから、刃筋の通った打ち、全体として動きにメリハリのある「形」である。演武中の大きくゆっくりとした打ちに関しては「切る瞬間に少しだけ力をいれ(刀を握り込む程度)、あとは刃筋を立て刀の重みで切る。」と伝わっており、そのゆっくりとした打ちは、動画でも確認する事ができるので是非みてもらいたい。
二天一流・五本は、日本剣道形・十本と演武時間がほぼ一緒とのことだ。それだけ、ゆっくり大きな動きで表現されている。
形稽古、通常の稽古・・・ すべてを踏まえ、その理念を体にしみ込ませる事が剣道の鍛錬、そして「人間形成」に繋がる、これが「強さ」の秘訣であり剣道の「原点」なのだと感じた。
●「二天一流」をやっていだきまいた!
今回は特別に普段の稽古から刃引き刀で行っている「日本剣道形」と、一川一先生が教える「二天一流」を実演してもらえることになった。
剣道形は無駄な動きのないなめらかな動きと、刃引きによる迫力が伝わってきた。
二天一流に関しては、ゆっくりしと動きの中にあるキレ、見る者を引きつけるエネルギーがある。
演武中、剣道や剣道形では聞き慣れない「ずー」「たん」「へったい」というかけ声を発する。これをわかりやすく簡単に説明してもらった。
・「ずー」=「動きの勢い・気合い」
・「たん」=断つ、切る。わかりやすく言うと「メーン!」や「コテー!」と同じ。ただし、切った瞬間ではなく、切った後に発する。
・「へったい」=絶対。「私はあなたを追いつめた、絶対に動けないんだよ。」という気持ちを示している。
※すごく噛み砕いて教えていただきました。
今回の2種類の「形」を、先生が見込んだ4人の選手に演武してもらいました。

【日本剣道形】
打太刀
齋藤 聖彦(2年生)
仕太刀
上原 裕二郎(2年生・キャプテン)

【二天一流】
打太刀
阪口 克哉(3年生)
仕太刀
中村 幸輝(3年生)
【日本剣道形】
※動画を「日本剣道形」に修正しました。(12/21)
【二天一流】
中学剣道部の未来を担う、若林選手(左)、田原選手【編集後記】
取材は2011年11月24日に行ないました。高校は試験前ということで、稽古の後に道場で机を並べ勉強をしていました。お忙しいところ、取材を受けて頂きありがとうございました!!また、取材の為にご協力していただたいた皆様に感謝いたします。
鎮西は今年度から中学剣道部の募集も始まり、高校剣道部同様これから全国を目指して行くとのこです。
そして高校剣道部は全国大会出場を目指しています。選手達に話しを聞いているだけ、すごくその熱意が伝わってきました。
霊巌洞の近くにある「二天一流の由来」石碑 今回の鎮西高校の取材をコーディネートしていただいた全日本武道具センター・川辺社長、ありがとうございました
吉里先生と川辺社長のオススメで、取材前に熊本市内から少し車を走らせたところにある、宮本武蔵が洞窟にこもって兵法の極意書「五輪書」を著した場所として広く知られている「霊巌洞」へ連れて行って頂きました。
そこには洞窟へ行く途中「二天一流の由来」という石碑があり見ていると・・・ 下段には「師範」として一川先生の名が・・・ これから取材だというのに、名前が彫られているような先生とお会いするとは・・・ 取材時はかなり緊張してしまいましたが、一川先生には本当に丁寧にわかりやすく色々な話しを聞かせていただきました。ありがとうございました。













