宮崎・日本剣道具製作所 〜世界最大級・武道具工場へメディア初潜入!〜

宮崎・日本剣道具製作所 (旧多田産業)

宮崎・日向剣道具・日本剣道具製作所

日本剣道具製作所とは

この日本製マークがついている防具が唯一、日本剣道具製作所で製造された防具。
この日本製マークがついている防具が唯一、日本剣道具製作所で製造された防具。

2014年11月、武道具製作77年の歴史を持つ多田産業(株)が、日本剣道具製作所として生まれ変わった。
社名変更とともに長らく愛用された「八光印」防具の製造も終了することになり、新ブランドを立ち上げるはこびとなった。
新ブランドもまた「日本製」であることにこだわり、そして日向剣道具の技術は継承し、材料から見直し向上させ、さらにトップ選手、ユーザーの意見を取り入れた「最新型・日本製防具」が近日発表される。

ここで一つ告知しておきたい事は、今後、旧多田産業では「八光印」防具の製造はしないということ。
今後、日本剣道具製作所で製造される77年の歴史と技術に裏打ちされた防具は【日本製マーク】が取り付けてあるものに限る。
※ご購入は、必ず正規取扱い店にてお願い致します。【12/3追記】

宮崎県西都市に本社・武道具製造工場(以下:工場)を構える日本剣道具製作所(旧多田産業株式会社)。
旧多田産業の創業は昭和12年、武道具製造に関しては77年の歴史を誇り、工場は日本で唯一、防具の全てを大量製造でき、昭和61年6月には宮崎県伝統工芸品「日向剣道防具」の指定を受け、伝統に裏付けされた技術、品質をいまだに守っている。
工場では少年用防具から国産・高品質オーダーメイド防具を主力商品とし、職人達は手を抜く事なくひとつひとつの防具を作り続けている。

今回LET’S KENDOでは、長い歴史を持つ武道具メーカー【日本剣道具製作所】の名をより多くの方に知ってもらうため工場内の撮影を特別に許可され、防具の製作過程のすべてを撮影させていただいた。
ちなみに工場内の撮影は、メディア初のことである。

防具製作に関して

日本製マーク。一度は見た事があるのではないだろうか。
日本製マーク。一度は見た事があるのではないだろうか。

 「日の丸+日本製」タグを見た事、使った事がある人も多いと思う。このマークこそ「日本剣道具製作所」(旧多田産業)で作られている証明となる。
日本最大級の防具製作工場は大きな体育館ほどの広さがあり、世界最大規模ともいわれる武道具製造工場。工場内には、防具布団を縫うミシンが何十台も配置され、型抜きプレス機、裁断機など多種にわたる機材とスペースが確保され、常時40名以上が防具製作に携っている。

防具の製造に関しては、面、甲手、胴、垂と各班に別れ、熟練した職人たちが作り込んでいる。
布団の芯材、紺反・紺革、生地の選別、裁断、各種型取り(プレス機)、材料(布団)の仕込み、布団の仮縫い、各仕様に合わせミシン縫い込みをおこない「布団」が完成し、面であれば布団と面金、小手なら小手頭と布団、垂では大垂、小垂、帯を手で縫い合わせ、商品として完成させる。
多田産業の本社工場では防具製作の一から十まで、全ての作業を工場内で行なえ、さらに大量生産できる日本で唯一の工場なのだ。

宮崎県伝統工芸士・興梠氏も最前線で防具を製作している
宮崎県伝統工芸士・興梠氏も最前線で防具を製作している

 時間のかかる作業も、当然ひとつひとつ手作業でおこなっている。いくつか紹介すると、突き垂の飾りに関しては刺し目で1時間、複雑なもので2時間以上を要し、胴胸も同様に刺し・飾りにおいて複雑なデザインだと1日掛かりになってしまうこともあるという。これは飾り部分の話しだけであり、さらに組み立て・縫い合わせなどがおこなわれる。

何十台ものミシン、職人は常時50名以上。防具の全てを製造できる日本唯一の工場。
何十台ものミシン、職人は常時50名以上。防具の全てを製造できる日本唯一の工場。

 何十年も防具を作り続けている職人の中に、面部門3年目の職人に話しを聞いた「3年ではまだまだです。何十年も続けている方々からのご指導を受けながら、日々良い防具を作れるように精進しています。」と話した。しかし、完成した面を見せてもらったが、細かい縫い目や隙間のない仕立ては非常に素晴らしいものであり、技術の高さを感じた。良い指導者にめぐまれ、上達も早いのかもしれない。

現在、身の回りのものをみても「Made in Japan」商品が少なくなっている。ある意味では希少価値となっていると言っても過言ではない。防具においてはさらに希少なものとなりつつあるなか、国産品にこだわる【日本剣道具製作所】の防具を一度、手に取ってみてもらいたいと思う。

2014年10月、全日本武道具(株)川邊社長が、多田産業の代表に就任し、現在の日本剣道具製作所に名称を変更し、あたらなスタートを切ったのだ。熟練した職人たちと、若き経営者、情熱あふれる営業員たちの力で「日本製」防具のさらなる浸透・普及に尽力している。


日本剣道具製作所 株式会社

日本剣道具製作所 株式会社
株式会社 全日本武道具
最高経営責任者 川邊 尚彦(34歳) 熊本県出身
・剣道具小売店で勤務した後、28歳で独立「剣道倉庫」を設立。
30歳で熊本を拠点に全日本武道具を立ち上げ、オリジナル防具「ALL JAPAN PITCH」を全国展開。現在は、海外にも販売網を広げる。
2012年、熊本県内に「全日本武道具・あさぎり工場」を設け、国産防具の製造を開始。
2014年10月、多田産業(株)の代表に就任し、同11月「日本剣道具製作所」として新スタートを切る。社員/パートを含め約60名が在籍し、専属の内職が約40名が所属する、日本最大の防具製造メーカー。


※【日本剣道具製作所(旧多田産業)Facebook】

※↓オフィシャルHP、取扱い店舗一覧はただいまリニューアル中です。

※【日本剣道具製作所オフィシャルHP】

※ 防具のお買い求めは【取扱店舗一覧】

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防具製作 動画

準備中

防具製作写真

心材、生地

紺反(袴生地)を裁断
紺反(袴生地)を裁断
芯材をすき、ミシンを通しやすくする
芯材をすき、ミシンを通しやすくする
紺反と芯材をセット
紺反と芯材をセット
芯材は防具により厚さ、材質を変えている
芯材は防具により厚さ、材質を変えている

型、プレス機

小手金型
小手金型
胴胸金型。他にも様々なパーツの金型があり全て合わせると100種類以上ストックされている。
胴胸金型。他にも様々なパーツの金型があり全て合わせると100種類以上ストックされている。
垂腹帯用の紺反、芯材をセットしのプレス
垂腹帯用の紺反、芯材をセットしのプレス
面縁用の革をプレス。細かいパーツも全て工場内で製造している
面縁用の革をプレス。細かいパーツも全て工場内で製造している

ミシン縫い込み

面布団の仮縫い。日本製の美しい紺反を使っている。
面布団の仮縫い。日本製の美しい紺反を使っている。
布団のヘリ綴じ
布団のヘリ綴じ
ミシンの縫い込み前に仕様の最終確認
ミシンの縫い込み前に仕様の最終確認
何十年の経験で、計らずに注文通りの縫い幅でミシンを操る
何十年の経験で、計らずに注文通りの縫い幅でミシンを操る
ヘリ革をミシンで縫い付け
ヘリ革をミシンで縫い付け
高級品になると、ヘリ革裏側は手祭りで細かく縫い付ける。
高級品になると、ヘリ革裏側は手祭りで細かく縫い付ける。
飾りヒモの下書き。布団のサイズに合わせ微妙な角度を付けている。ただまっすぐに書いているわけではないのだ。
飾りヒモの下書き。布団のサイズに合わせ微妙な角度を付けている。ただまっすぐに書いているわけではないのだ。
飾りヒモの取り付けも手作業
飾りヒモの取り付けも手作業

面の製造

アゴも一枚一枚手作り。曙光、刺しにより大きく作業時間がことなる。
アゴも一枚一枚手作り。曙光、刺しにより大きく作業時間がことなる。
突きの芯材。打突部位は厚めになっている。
突きの芯材。打突部位は厚めになっている。
オーダーに合わせ下準備
オーダーに合わせ下準備
面金と布団の縫い合わせ。もたもたしていると面縁革が乾いてしまい仕上がりが悪くなってしまうという。短時間でキレイに仕上げる、まさに職人技。
面金と布団の縫い合わせ。もたもたしていると面縁革が乾いてしまい仕上がりが悪くなってしまうという。短時間でキレイに仕上げる、まさに職人技。
縁革と面布団の接合。深すぎず浅すぎすヒモを通していく
縁革と面布団の接合。深すぎず浅すぎすヒモを通していく
縁革の角だし。微妙な力加減でなめらかにしていく。仕上がりに影響がでてしまう重要な作業だ。
縁革の角だし。微妙な力加減でなめらかにしていく。仕上がりに影響がでてしまう重要な作業だ。
別部屋にて面縁に漆を塗る
別部屋にて面縁に漆を塗る
漆が乾燥した後、出荷準備。みなさまの手元に届くのももうすぐです
漆が乾燥した後、出荷準備。みなさまの手元に届くのももうすぐです

甲手の製造・修理

剣道用だけでなく、なぎなた、銃剣道なども製造している。
剣道用だけでなく、なぎなた、銃剣道なども製造している。
頭と布団の縫い合わせ。裏生地にもこだわり
頭と布団の縫い合わせ。裏生地にもこだわり
ヒモを通し、甲手全体を整える
ヒモを通し、甲手全体を整える
アフターケアも対応
アフターケアも対応

胴の製作

サイズに合わせ様々な金型が存在する
サイズに合わせ様々な金型が存在する
胸刺し、模様によっては一日かかりになってしまうものもあるという。
胸刺し、模様によっては一日かかりになってしまうものもあるという。
刺し終わった胴胸。この後に芯材を入れ縫い合わせる
刺し終わった胴胸。この後に芯材を入れ縫い合わせる
胴組。多田産業は少年用防具にも定評がある
胴組。多田産業は少年用防具にも定評がある

※掲載した写真は、防具製作の一部です。工場内では防具製作のすべてをおこなっています。

※完成品、取り扱い商品に関しては下記リンク【八光印・ウェブカタログ】をご参照ください。

※日本剣道具製作所本社・工場での直販はおこなっておりません。正規取扱店舗にてお買い求めください。

※【日本剣道具製作所(旧多田産業)Facebook】

※↓オフィシャルHP、取扱い店舗一覧はただいまリニューアル中です。

※【日本剣道具製作所オフィシャルHP】

※ 防具のお買い求めは【取扱店舗一覧】

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取材・見学を終えて

letskendo

一球入魂という言葉を聞いた事があるが、工場を取材させてもらい、ここは「一針入魂」と思わされた。
現在普及している防具のほとんどが中国製と言われているが、ここで作られている防具がすべて「日本製」であり、こだわりを持っている。
そして今回の取材では、本社・工場内を隅々まで見学させていただいた。目の前で職人さん達が防具を製作している姿も拝見し、LET’S KENDOとして伝える責任はさることながら、いち剣道愛好家として純粋に「ここの防具が欲しい」と思ったのは必然だろう。
通常、関係者以外が工場へ入る事が絶対になく、また工場内が公開されることはなかった。他業種においても同様だったが、近年、ものつくりまた食品の製造工場がテレビ番組で放映されることも多い。公開する側は技術やそのものに対する「自信」があるからだろう。そして、そのことはすべては消費者への「安心感」につながると、私は考えている。

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